激動の都市・上海での住宅選びとは(2016年1・

中国経済をけん引する大都市・上海では住宅の選択の幅が非常に広い。住宅価格の上昇と円安の影響で、日本の一般的な住宅をはるかに超えるような高額な家賃が必要となることも少なくない。上海の住宅はどのように変化し、日本人はどんな住宅を選べばいいのか。天晟不動産で長年にわたって日本人に住宅選びのアドバイスをしている施軍偉董事に話を聞いた。


 施軍偉
天晟不動産董事。1990年に東京へ語学留学、その後、日本で8年間生活する。中国の不動産業界の将来を見越して、98年天晟不動産に入社する。



一級都市で上昇する住宅価格

 
 中国は経済成長率こそ徐々に下がってきていますが、依然として経済発展が続いています。不動産市場はその原動力の1つになっています。中国で一級都市と呼ばれる北京、上海、広州、深圳で不動産価格の上昇が続いています。2015年にこれらの5つの都市では、分譲住宅の価格が前年に比べ10パーセント程度上昇しました。
 住宅の価格が上がれば、必然的に賃貸価格も上がります。上海で賃貸価格が顕著に上昇しているエリアとしてまず挙げられるのが、静安寺、新天地、陸家嘴の市中心部の3つのエリアです。このエリアはもともと価格が高かったので、日系企業の駐在員にとっては住みにくくなりつつあるともいえます。日本人居住者の多いエリアでいうと、まず地下鉄2号線の威寧路駅周辺です。このエリアの少し西で「金虹橋中心」「南豊城」という2つの大きなオフィスビルが開発されたことが原因となっています。もう1つは古北二期です。ここで値上がりが著しいのは1LDKを中心とする小さめの部屋です。日系企業の駐在員はここ数年、単身で赴任するケースが増えています。そのためコンパクトで家賃も比較的安い物件の需要が増えているのです。
 
形態が変化する物件も
 
 日本人が上海で暮らす際の住宅はデベロッパーの物件と個人オーナーの物件に分けられます。デベロッパー物件は、日式マンションとサービスアパートメントのいずれかだといえます。個人オーナーの物件は、入居後のメンテナンスとサービスに問題が生じることがあります。水漏れや電球切れといった問題にどう対処してくれるかはオーナーの考え次第です。また、オーナーの都合で突然立ち退きを迫られることもあります。
 多くの外国人が住むデベロッパー物件は、メンテナンスとサービスに問題が生じることはほとんどありません。ただ、最近ではサービスアパートメントが業態を変化させることが多くなっています。丁寧なサービスを売りにしている物件が多いので、サービスを維持するには人手がかかります。人件費の上昇に伴って、サービスアパートメントの運営の経費も上昇しています。サービスアパートメントを分譲マンションとして売り出すケースも見られます。そうなると入居者は立ち退かざるを得なくなります。サービスアパートメントだからといって、必ずしも長期間安定した生活を送れるとは限らないのが現状です。
 
子どもの通学は最優先の条件
 
 住宅選びでまず考えなければならないのは、子どもの学校の問題です。2015年に上海市政府が通学バスは学校が運行しなければならないという規定を設けました。それまではマンションやサービスアパートメントが独自に行っていた通学バスの運行が禁止されたのです。そのため、学校が運行するバスが多くの住宅を回り、通学に1時間以上かかるという場合も出てきました。往復2時間の通学は子どもにとって大きな負担となります。子どもがいる場合は、通学のバスがどのように運行されているかを入居前にきちんと確認するべきです。
 具体的に物件を選ぶ際に、多くの日本人が重視するのは部屋の向きです。南向きの部屋に住みたいという人が多く、それだけ空いている部屋も少なくなります。また、冬の寒さへの対策も重要です。寒さを厳しく感じるのは夜なので、部屋の向きも関係なくなります。夏の冷房は十分でも、冬の暖房は心もとないという部屋も少なくありません。「上海の冬は寒いくて困る」という声をよく聞きます。
 
住宅選びは迅速な決断で
 
 具体的に住宅を選ぶ際に注意が必要なのは、多くの外国人が上海で部屋を探しているということです。特に個人オーナーの物件では、検討するための時間的な余裕はそれほどありません。ある物件を見て、考えているうちに別の外国人が契約してしまったという話を日常的に耳にします。個人オーナーは自分にとってどちらが利益になるかを最優先します。欧米系の駐在員だけでなく韓国人駐在員も、一般的に日本人駐在員より企業の住宅負担が手厚く、悩んでいるうちにほかの外国人に持っていかれます。迅速な決断が必要です。外国人向けの物件の家賃も上昇しています。古北二期の物件について「上海の日本人が減っているのに、なぜ家賃が上がるんだ」という日本人の声を聞くこともありますが、日本人が減っている以上に韓国人が増えているのです。
 信頼できる不動産仲介会社を選ぶことも重要です。多くの外国人が暮らす上海には数多くの仲介会社があります。仲介会社とお客さまの関係は住宅を通じて長く続きます。大手の仲介会社は、どの部屋がいつ空くのかといった情報をいち早くつかんでいます。それをもとにお客さまに的確な紹介ができます。また、設立してそれほど時間が経過していないのに廃業する仲介会社も少なくありません。経済発展が続き、住宅事情の変化も激しい上海では、しっかりとした物件選びの前にしっかりとした仲介会社選びをするべきだと思います。
 
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