エコロジーの現場から 第6回
中国で熱電併給が普及しないお国事情
中国都市で昨年、一昨年と夏季電力不足が深刻化し、一部では電力制限すら実施されたことは記憶に新しい。しかし、今度は電力過剰の心配が生まれてきた。ここ数年の電力不足を受けて、新規発電事業が次々に認可、着工されたためである。一方でその煽りを受けているのが、発電システムのエネルギー利用効率を上げ、省エネにもなると世界的にも評価が高い熱電併給だ。果たして将来中国で熱電併給は根付くことができるのだろうか。
エネルギー効率は高いが
ここ数年中国の銀行は認可を受けていない発電事業にすら融資し、環境アセスが義務付けられているのにもかかわらず、それなしで着工してきた。しかしこの新規発電事業開発の勢いが強すぎて、2007年には逆に電力過剰の事態を招くという。すでに銀行は発電事業への融資を渋り始めた。この余波で、世界的には高評価を受けている熱電併給事業が、中国では冷遇されることになった。
熱電併給はコージェネレーションやコジェネとも呼ばれている。発電の際、同時に発生した排熱も利用して、冷暖房や給湯などの熱源に利用するシステムで、総合熱効率の向上を図るものだ。火力発電など、従来の発電システムにおけるエネルギー利用効率は高くても40%程度で、残りは排熱として失われていたが、熱電併給によって理論上は最大80%の高効率利用が可能となる。電力と暖房だけでなく、冷房をも供給するシステムもある。
中国では、地域へのスチーム供給の容量をもとに設計した中小型熱電併給が主流で、従来の大型集中式発電・電力網を補完する分散型電源の1つとされた。だがエネルギーの効率的活用、環境対策の面で優れた熱電併給事業に対して、中国建設銀行、中国工商銀行、中国銀行などが次期融資を行わないという決定を出している。熱電併給そのものは環境に優れ収益性も高い事業であったが、電力過剰問題が浮上してきた今、熱電併給を通常の発電所と同類視し、ハイリスク事業とされたのである。
課題は効率も含めた競争
また『鳳凰週刊』では、電力過剰のあおりを受けた直接的原因以外に、政策的、行政管理上の不安定、不明確な電力改革の方向性を間接的原因として挙げている。熱電併給に関して、法律面では省エネ法にわずかな記述がある以外は規定されていない。行政管理面では主管部門が定まっておらず、電力不足時にはどの省庁も自分のものだと主張するし、電力過剰時にはどの省庁も不要だとする。
過去の電力改革では、「発電所と電力網との分離、価格競争で電力網に売電、競争を奨励」を強調する反面、エネルギー利用効率の向上や環境汚染対策、末端使用エネルギー総合利用効率の向上などは目標になっていない。この路線では、電力網の独占状態は変わらず、発電所だけが価格競争をするようになり、発電量だけで見ると容量の小さい熱電併給には不利となる。また発電所は発電コストの削減に必死になり、その結果安全対策や環境対策がおろそかになって、かえって電力供給リスクを生むことは、米国電力自由化の結果、大停電を生んでしまうことになったのを見てもわかる。デンマーク型の、エネルギー効率化を前提とした価格競争が必要だと、『鳳凰週刊』の記者は主張している。
07年の電力過剰期をこえ、熱電併給が法的にも行政管理面でも正当に位置づけられ、電力改革の方向性がエネルギー効率重視型になれば、未来も明るいものになろう。

日中環境協力支援センター有限会社 取締役社長 大野木昇司
中国環境ビジネス、日中環境協力、日系企業在中CSR活動、エネルギー協力などの支援などを行う日本の民間会社。環境・CSR分野の委託調査、翻訳、協力パートナー探し、視察ツアー、『週刊中国環境ニュース』発行なども手がける。メルマガ『中国環境CSRエネルギーレポート』をスポンサー支援。www.jcesc.com
中国都市で昨年、一昨年と夏季電力不足が深刻化し、一部では電力制限すら実施されたことは記憶に新しい。しかし、今度は電力過剰の心配が生まれてきた。ここ数年の電力不足を受けて、新規発電事業が次々に認可、着工されたためである。一方でその煽りを受けているのが、発電システムのエネルギー利用効率を上げ、省エネにもなると世界的にも評価が高い熱電併給だ。果たして将来中国で熱電併給は根付くことができるのだろうか。
エネルギー効率は高いが
ここ数年中国の銀行は認可を受けていない発電事業にすら融資し、環境アセスが義務付けられているのにもかかわらず、それなしで着工してきた。しかしこの新規発電事業開発の勢いが強すぎて、2007年には逆に電力過剰の事態を招くという。すでに銀行は発電事業への融資を渋り始めた。この余波で、世界的には高評価を受けている熱電併給事業が、中国では冷遇されることになった。
熱電併給はコージェネレーションやコジェネとも呼ばれている。発電の際、同時に発生した排熱も利用して、冷暖房や給湯などの熱源に利用するシステムで、総合熱効率の向上を図るものだ。火力発電など、従来の発電システムにおけるエネルギー利用効率は高くても40%程度で、残りは排熱として失われていたが、熱電併給によって理論上は最大80%の高効率利用が可能となる。電力と暖房だけでなく、冷房をも供給するシステムもある。
中国では、地域へのスチーム供給の容量をもとに設計した中小型熱電併給が主流で、従来の大型集中式発電・電力網を補完する分散型電源の1つとされた。だがエネルギーの効率的活用、環境対策の面で優れた熱電併給事業に対して、中国建設銀行、中国工商銀行、中国銀行などが次期融資を行わないという決定を出している。熱電併給そのものは環境に優れ収益性も高い事業であったが、電力過剰問題が浮上してきた今、熱電併給を通常の発電所と同類視し、ハイリスク事業とされたのである。
課題は効率も含めた競争
また『鳳凰週刊』では、電力過剰のあおりを受けた直接的原因以外に、政策的、行政管理上の不安定、不明確な電力改革の方向性を間接的原因として挙げている。熱電併給に関して、法律面では省エネ法にわずかな記述がある以外は規定されていない。行政管理面では主管部門が定まっておらず、電力不足時にはどの省庁も自分のものだと主張するし、電力過剰時にはどの省庁も不要だとする。
過去の電力改革では、「発電所と電力網との分離、価格競争で電力網に売電、競争を奨励」を強調する反面、エネルギー利用効率の向上や環境汚染対策、末端使用エネルギー総合利用効率の向上などは目標になっていない。この路線では、電力網の独占状態は変わらず、発電所だけが価格競争をするようになり、発電量だけで見ると容量の小さい熱電併給には不利となる。また発電所は発電コストの削減に必死になり、その結果安全対策や環境対策がおろそかになって、かえって電力供給リスクを生むことは、米国電力自由化の結果、大停電を生んでしまうことになったのを見てもわかる。デンマーク型の、エネルギー効率化を前提とした価格競争が必要だと、『鳳凰週刊』の記者は主張している。
07年の電力過剰期をこえ、熱電併給が法的にも行政管理面でも正当に位置づけられ、電力改革の方向性がエネルギー効率重視型になれば、未来も明るいものになろう。

日中環境協力支援センター有限会社 取締役社長 大野木昇司
中国環境ビジネス、日中環境協力、日系企業在中CSR活動、エネルギー協力などの支援などを行う日本の民間会社。環境・CSR分野の委託調査、翻訳、協力パートナー探し、視察ツアー、『週刊中国環境ニュース』発行なども手がける。メルマガ『中国環境CSRエネルギーレポート』をスポンサー支援。www.jcesc.com
(SUPER CiTY北京 2006年3月号掲載内容)


